近年では、日本人の2人に1人がアレルギー疾患に苦しんでいると言われています。
この「アレルギー疾患」は経済成長とともに増えてきており、
「現代病」の1つとして近年では大きな問題になっています。
本講座では、そんな「現代病」の一つであるアレルギーに目を向け、
アレルギー反応が起こるメカニズムや症状、
子どもから大人まで見られるあらゆるアレルギーについての正しい知識を身につけることを目的としています。
現代人のアレルギー疾患は増加傾向

国立成育医療センターの調査によると、アレルギー体質の日本人は
1951~1970年生まれの人で44%であるのに対し、
1971~1980年生まれの人は88%と大幅に膨れ上がっています。
この「アレルギー疾患」の本質を理解するためには、
どのようにアレルギー反応が起こるのか、その仕組みと、免疫を強くすることの大切さを学習する必要があります。
アレルギーは、本質的には私たちの体の防衛システムである「免疫」と密接に関係があります。
免疫とアレルギーの関係

アレルギーは「炎症反応」ですが、炎症の起こる原因は
「免疫が過剰に反応してしまうこと」にあります。
免疫は本来であれば人体に有害な物質を攻撃するために働くものですが、
人体に無害な物質に対しても過剰に反応してしまうことがあります。
その無害な物質への過剰な攻撃によって起こる反応が「アレルギー反応」なのです。
免疫の弱い綺麗好きな日本人

冒頭で「経済成長とともにアレルギー疾患が増えている」
と記載しましたが、それは何故でしょうか。
この問題を理解するには、免疫のシステムについて理解する必要があります。
免疫は「汚い物」を攻撃するシステムですが
細菌や寄生虫を一方的に追放した「綺麗好き」な日本人は
免疫の仕事を奪ってしまい、無害な物質を攻撃する「異常反応」を引き起こしてしまっているのです。
言い換えれば、環境衛生が良好になればなるほど、人の免疫は弱まっていくと言うことなのです。
水資源が豊富な日本

日本では、毎日シャワーやお風呂に入るのは当たり前。
子供の頃からアルコール除菌で手を拭き、
休み時間に外で遊んで校舎に戻る時には石鹸で手を洗う。
これも「水資源が豊富」であるという恵まれた環境だからこそ起きてしまっている現状。
殺菌や除菌をしすぎる国では免疫力が弱まってしまうのは避けられない現実です。
動物と触れ合うことで、免疫力を高めよう

これらのように、細菌を全て生活から排除してしまっては免疫力の低下は免れません。
たまには近くの公園や遠出をして自然の中で思いっきり遊んでみたり、
動物園で動物と触れ合ったりしてみましょう。
子供の頃から動物や自然と触れ合っていると、様々な細菌が体内に入り免疫力が高まります。
「細菌が体内に入る」と聞くと少しショックかもしれませんが、
アレルギーや免疫力という観点から見ると、私たちの体には「必要な汚さ」もあるのです。
続いてのページでは「アレルギーとはそもそも何か?」、アレルギーの種類についての知識などを身につけましょう。