コラム:アレルギーマーチとは?

アレルギーを取り巻く言葉の中には、造語として新しく現れている言葉もあります。

「アレルギーマーチ」は、同愛記念病院小児科医長により提唱された言葉で、
複数のアレルギーに長期の間悩まされることを指します。

さて、アレルギーマーチとは具体的には一体どのような現象のことなのでしょうか。

「アレルギーマーチ」とは?

これは、アトピー性皮膚炎を有する人が、まるでアレルギーが行進するかのように
次から次へと新しいアレルギーを発症してしまう様子
のことを指しています。

典型的なアレルギーマーチとしては、以下のようなアレルギーの連鎖が挙げられます。

<アレルギーが次々に発症してしまう人の典型的な症状パターン>

乳児期:湿疹、アトピー性皮膚炎、消化器症状

生後6ヶ月ごろ:気管支症状(喘鳴など)

1~2歳:喘息発作(呼吸困難などの気管支症状)

3歳~ ハウスダストによる気管支症状

このように、次から次へと形を変えてアレルギー症状に悩まされることを
アレルギーマーチと呼びます。

アレルギーマーチを引き起こすアレルゲンは、成長とともに変わっていくのです。

一般的には、アトピー性皮膚炎・乳児湿疹がアレルギーマーチの出発点であり、
その後年齢によって形を変えて反応が現れます。

アレルギーマーチの原因は年齢で変化する

アレルギーマーチの原因となるアレルゲンも、時期とともに変化していきます。

乳児期は卵や牛乳などの食物抗原をアレルゲンとする傾向が強いのに対して、
それ以降はダニや花粉、カビなどの吸入抗原へと変化していきます。

これは乳児期は消化管が未成熟で、食物抗原による直接的な刺激が大きいことに起因しています。

しかしこのアレルギーマーチは、生涯ずっと続くようなものではありません。

アレルギーマーチは一生続くわけではなく、70%程度が15歳までに完治すると言われています。
完治しない場合は成人の気管支喘息へと移行してしまうこともあります。

中にはアレルギー性の鼻炎やじんましんなどが発症してしまうケースもあります。

アレルギーマーチの予防対策

2014年、国立成育医療研究センターから、新生児期からの保湿剤塗布をすることで
アトピー性皮膚炎の発症リスクが3割以上低下する
ことが報告されました。

早めにしっかりと保湿や薬による治療がされずに、皮膚のバリア機能が壊れた状態では
食物アレルゲンへの反応が高まってしまいます。

アレルギーマーチの予防としては、まずは始まりの乳児湿疹を抑えることが大切です。

乳児期からしっかりとスキンケアを徹底して行い、皮膚バリア機能を改善することで
次に起こるアレルギー反応を抑えられる可能性が高まります。


また、アレルギーマーチの対策には諸説ありますが、

  • アレルゲンの除去
  • 生活環境の改善
  • 薬による治療

が最も有効だと言われています。

対象となるアレルゲンを除去し、症状を抑え、掃除をこまめにしたり、早寝早起きを心がけることで免疫をつけましょう。
そして症状が出てしまった際には、しっかりと正しい薬で治療をすることが大切です。