Lesson4-4 食物アレルギーの治療

前回のページで学習した経口免疫療法は、例えるならばインフルエンザ・ワクチンなどの
「抗体を体に入れる事で体を慣れさせる」という方法です。

そうではなく、疫学の観点から食物アレルギーを治療していく方法はあるのでしょうか。

食物アレルギーと疫学

食物アレルギーは年齢が低いほど多く発症する傾向にあると言われており、
乳幼児の5%程度、小学生では2~3%程度が食物アレルギーを持っていると言われています。

食物アレルギーの3大原因は鶏卵、牛乳、小麦ですが
これらは毎日の食卓に並ぶ原材料であるため、食生活の制限が強くなります。

一般的にこれらのアレルギーは、年を重ねるごとに発症の原因が変化していくという特徴もあります。

食物アレルギーは、年齢とともに原因が変化する

食物アレルギーは年齢と共に減少しますが、3大原因が改善する傾向がある代わりに、
果物や甲殻類にアレルギーを持つ割合が増加
していきます。

厚生労働省によれば、即時型反応を起こした原因の食物は
0歳では鶏卵、乳製品、小麦が主流となっています。

しかし、1歳では魚卵、ピーナッツがこれらに加えて増加し
さらに7歳以上では、甲殻類やそば、果物が上位になる傾向があります。

成人になるとさらに果物などの割合が変わるのですが、
成人の場合は「自覚症状のないまま」アレルギーとなる食物を食べている可能性もあるのです。

成人のアレルギーは「自覚症状がない」場合も

成人で果物や甲殻類が原因となる場合、
自覚症状がないまま除去食を口にしている可能性もあります。

そのため、実際には医療機関で行われた調査結果よりも数が多い可能性が高くなっています。

また、自分で感じているアレルギーの原因が実は異なることもしばしばあります。

例えば、サバには痒み物質のヒスタミンが多く含まれていますが、
サバを食べてアレルギーを発症した場合、サバアレルギーではなく
ヒスタミンアレルギーの可能性もある
ということがあります。

このように、自分でアレルギーだと思い込んでいるだけの場合もあるため、
医療機関での正確な受診を心がけるようにしましょう。

皮膚炎の併発では、薬剤を使った治療法も

食物アレルギーが関係するアトピー性皮膚炎では、薬を使った治療を行います。

例えば、アトピー性皮膚炎に対しては抗アレルギー薬の「インタール」を内服し、
じんましんや痒みの症状には「抗ヒスタミン薬」を使用して症状を和らげます。

これらのように、食物アレルギーに対しては直接的に投薬をしないものの、
皮膚のバリア機能を高めるためには投薬を行うケースが多いのです。

具体的なアレルギーそのものの治療法は現在まだ見つかっていませんが、
起こった症状に対しての治療をしたり、加齢とともに自然治癒するという場合が
アレルギーの治療としては行われているのです。


Lesson4の最後の次のページでは、
食物アレルギーの「予防」という観点からしっかりとまとめも含めて学んでいきましょう。