Lesson4-3 経口免疫療法

食物アレルギーの直し方は、基本的には年齢とともに症状が軽くなる
「自然治癒」が一般的とされていますが、「経口免疫療法」と呼ばれる治療法も存在しています。

「毒を持って毒を制する」と言わんばかりのこの療法はどのような方法なのでしょうか。

経口免疫療法

経口免疫療法とは、原因となっている食物そのものを食べることで
アレルギーを緩和していく療法です。

食物アレルギーにおいて、症状を起こさない程度の「ごく少量」のアレルギー物質を
毎日摂取することで、何ヶ月もかけてアレルギーを克服して行きます。

少しずつ量を増やしていく「増量期」と、増やした量を食べ続ける「維持期」を経て
医療機関でアレルギー反応の確認試験を行い合格するとアレルギーの治癒が認められます。

ただし、そもそもアレルギー反応を起こす可能性が非常に高い物質を体内に入れるわけですから
当然のことながら危険がないとは言い切れません。

きちんと量をセーブしないと、危険もある治療法

もちろん、「ごく少量」の意味を間違えてしまうと大変なことが起こります。

毎日食べている間にじんましんや喘息などの症状を引き起こしてしまうこともしばしばあり、
危険性を回避した方法を確立しようと世界中で研究がなされているものの
未だに安定した治療法が見つかっていないのが現状になっています。

最終的にどのくらいの量を目指すか

体質によって目標とする量は異なりますが、
一般的に「このくらいを食べられるようになる」というラインが決まっています。

卵ですと「1個」、牛乳だと200ml(コップ1杯分ほど)、小麦(うどん)だと1人前よりすこし少ない
100gなど
が一つの目安になることが多いです。

しかし、経口免疫療法を行うためには、実際には試験が必要です。

まずは「負荷試験」が大切

この経口免疫療法は、希望すれば誰でも受けられるというわけではありません。

治療には「負荷試験」と呼ばれる、「治療適応能力があるかどうかの検査」を
クリアする事が必要な条件になっています。

アレルギーも全ての食物に対応しているわけではなく、
病院によって鶏卵、牛乳、小麦の3つを基本としてピーナッツなど
部分的なアレルギーのみ経口免疫療法が許可されているなど、その制限は異なっています。

ただし、この治療法は少しショック療法に近いため、
疫学の観点から根本的な治療を行なっていく方が安全で効果的であるという意見もあります。

続いてのページでは、経口免疫療法を使わないで食物アレルギーの治療を行う場合、
どのような方法や傾向があるのかを学んでいきましょう。