前回のページでは、遅延型の食物アレルギーと食生活や肥満には
関係性があるということを学習しました。
食生活と腸内細菌のバランスを考えることは体調や免疫の根本的な要素です。
主に腸内環境は、善玉菌と悪玉菌の比率によって大きく左右されます。
悪玉菌が多い状態になると、腸壁に穴が開く「腸もれ」という事態を引き起こします。
「腸もれ」とは?

腸は粘膜と粘膜の間に腸内細菌がびっしりと生息していますが、
悪玉菌が優勢の環境下ではこの腸内細菌の数が減るなどバランスが崩れ
結果として粘膜の間にぽっかりと穴が開き、「すきま」ができます。
そして、その「すきま」から、本来吸収すべきではない段階のタンパク質やペプチドが血液中に漏れ
吸収されてしまうのです。
この状態は「リーキーガット」とも呼ばれています。
腸もれになるとどうなるか

腸もれが起きている状態では、まだ十分に消化吸収を
行えていない(分解されていない)物質が体内に吸収されてしまうため、
体が「なんだこの物質は」と過剰反応してしまい、アレルギー反応を起こしてしまいます。
この腸もれの怖いところは、通常ではアレルゲンと認識していない物質であっても、
分解されていないというだけでアレルギー反応になり得てしまうというところです。
腸もれの原因

この腸もれは、腸内フローラの乱れによって起こります。
「腸内フローラ」とは少し曖昧な言葉かもしれませんが、
通常、腸の中では1,000種類、100兆個もの細菌がバランスを取り合っています。
この細菌群は「消化できない物質を栄養物質へと作り替える」働きを持っているので、
本来であればここでアレルゲンがブロックされるのです。
腸内環境のバランスを取ることで、食物アレルギーが改善できたという例は実はたくさん報告されています。
腸にあいた穴がきちんと塞がれば、アレルゲンが血中に漏れ出すこともなくなるのです。
腸内フローラを整える

細菌の種類は「善玉菌」「悪玉菌」だけではなく、「日和見菌(ひよりみきん)」という
善玉菌と悪玉菌の優勢な方に味方をする細菌も存在しています。
つまり、悪玉菌が優勢になってしまうと、本来は悪さをしない日和見菌が
悪玉菌の仲間として体へ悪さをしてしまうのです。
したがって、脂質や動物性タンパク質を好む悪玉菌が優勢にならないように
定期的に水溶性食物繊維と発酵食品のみにしか口にしないような「菜食日」を作るなど、
腸もれが気になる人は、腸内フローラを整えるような活動を行ってみましょう。
続いてのページでは、花粉症とアレルギーが関係する
「口腔アレルギー症候群」という症状について見ていきましょう。