Lesson2-5 「腸もれ」とは

腸内フローラを育てると言う日々の取り組みが疎かになると、「腸もれ」と言う状態が起こります。

この腸もれは新陳代謝の不備により発生し、日本人のおよそ9割が経験しているとも言われています。

腸の新陳代謝はわずか1~2日で行われる

人体では、古い細胞と新しい細胞を入れ替える「新陳代謝」が起こっています。

新陳代謝を行うことで細胞が生まれ変わり、常に生命維持に必要な活動を
最新の細胞で行うことができるようになるのです。

その中でも「腸壁」を作る粘膜の細胞の新陳代謝は最も早く、
皮膚の新陳代謝が28~56日で行われるのに対し腸壁は1~2日
で入れ替わります。

新陳代謝を支える大切な存在「腸内細菌」

この素早い新陳代謝を支えているのが腸内細菌で、
粘膜細胞の間に住み着いた腸内細菌が新陳代謝をサポートしています。

腸内細菌の種類は人によって大きく異なり、その割合は食生活に大部分を依存します。

種類自体は一生を通じて大きく変動しないとされており、
抗生物質などの薬で一時的に比率は変わるものの、時間の経過とともに元に戻る傾向が強いです。

善玉菌は乳酸や酢酸などを作り、腸内を酸性に保つ事で悪玉菌の繁殖を抑えています。

しかしこのバランスが崩れると、「腸もれ」という事態を引き起こすのです。

不衛生な腸内環境は「腸もれ」を引き起こす

腸内環境が悪化し細菌の数が少ないと、新陳代謝で生まれ変わった腸壁の間に小さな穴があき、
本来であれば腸の中で吸収される栄養素や有害物質などが体内に漏れ出してしまうのです。

腸内細菌は粘膜細胞の間にびっしりと住み着いているのが正常な状態ですから、
すきまが生まれてしまうと細胞どうしの連結が非常に弱まってしまうのです。

この腸もれは、食物アレルギーを引き起こします。

腸もれのタンパク質は「非自己」

正常に吸収されず腸から漏れ出したタンパク質は「非自己」と認識され、
アレルギー反応の原因となります。

食品中のタンパク質は腸にある時は問題を起こさないのですが、
血液中に流れ出してしまうと攻撃の対象
となってしまうためです。

食物アレルギーは特にアナフィラキシーを起こす可能性が高いことから、
腸もれは無視できない人体のトラブルと言えるのです。

Lesson2 まとめ

Lesson2では、アレルギーの起こる仕組みについて解説しました。

アレルギーは免疫の誤作動で、IgE細胞と呼ばれるアレルゲンに対する抗体が
マスト細胞に付着することでマスト細胞が活性化し、化学物質が放出されることで起こります。

その他にも、自然免疫の一種であるリンパ球からも
マスト細胞を活性化させられることがわかっています。

アレルギーに対抗するためにも免疫力を高め、納豆などの「腸内細菌」と、
海藻などの「腸内細菌のエサ」を同時に摂取することを心がけたいものです。

続いてのページから始まるLesson3では、現代社会とアレルギーというテーマで
アレルギー症状が増える要因などについて学んでいきましょう。