食生活の文化とその国アレルギー事情に密接な関わりがあるということは、
前回のページでもお分かりいただけたのではないかと思います。
世界の事情がわかったところで、日本における食生活とアレルギーの
関係性についてはどうなのかを見ていきましょう。
現代社会でアレルギーが増えているのは
「清潔思考」になったことで免疫が弱体化したのが主な原因であるとこれまでにも説明しましたが、
もちろん食生活とアレルギーにも密接な関係性があります。
「乳製品」が引き起こすアレルギー

戦前と戦後を比較すると、日本人の消費が増加している傾向の食物はたくさんあります。
その中でも注目すべきは「乳製品、甲殻類、加工食品」で、
農林水産省が出している統計によれば
戦後から現代までで最も消費が増加しているのが「乳製品」となっています。
食物アレルギーを引き起こす原因の2位が牛乳でありますから、
この消費の増加傾向はアレルギーと密接な関係があると言えるでしょう。
乳製品以外にも、日本人の食生活が欧米化したことで、摂取するタンパク質が過剰となり、
アレルギーの発症を引き起こしていると言われています。
食生活の変化でアレルギー患者が増えているという現状も覚えておきましょう。
大豆アレルギー

戦後、日本では大豆も牛乳や鶏卵などと同様にアレルギーを引き起こす3大物質だと捉えられてきました。
しかし、食生活の面で考えると日本人は古くから大豆を主要タンパク源として摂取してきましたので
その摂取量が近年極端に増加したとは考えられません。
実は本当の大豆アレルギーの人はそれほど多くなく、
IgE抗体が陽性であっても食べられるということがよくあります。
大豆製品は醤油や味噌など大きく形を変えたり、長い時間をかけて加工されているものが多く、
これらは日本人にとってはほとんどアレルゲンとなりにくいことがわかっています。
また反対に免疫を整える非常に重要な役割をすることもわかっていますので、過度な除去には気をつけましょう。
豆腐は豆乳を固形化する段階でアレルゲン性が変化したり、納豆は菌の発酵の段階でタンパク質が変性します。
大豆アレルギーの人でも食べられる食品と症状が出てしまう食品があることを覚えておきましょう。
症状の出ない食品は積極的に摂取することで、アレルギー反応を緩和できる可能性もありますので
食べられるものは日常的に摂取するようにすることも大切です。
食物アレルギー保有者が、日常で気をつけること

食物アレルギーの患者は、誤ってアレルゲンを体内に入れないようにするために
日常生活の中でも注意が必要です。
特に、加工食品を食べるときには必ず原材料名の欄をチェックし、
アレルゲンが含まれていないか確認しましょう。
また、台所や冷蔵庫の掃除を欠かさないことも大切です。
台所や冷蔵庫が汚れていると、アレルゲンの食べかすが誤って他の食材に付着・混入してしまい
気づかないうちにアレルゲンを体内に入れてしまう可能があります。
食生活以外でも、「皮膚」からも食物アレルギーは発症する?

もちろん食生活以外でも、「スキンケア」などの領域でも環境が変化したことは否めません。
洗顔石鹸にも小麦由来の成分が含まれているものがあり、
皮膚の粘膜を経由して体内に取り込まれアレルギー反応を引き起こしてしまった、という事例もあります。
食事以外からでも、皮膚の防御機能が低下している場合は、
化粧水などの皮膚につけるものでも食物アレルギーを発症してしまう可能性があることが示されたのです。
それでは、これらの増加するアレルギーに対して、
日本社会はどのような取り組みを行なっているのでしょうか?
続いてのページでは視点を変えて、日本企業がアレルギーに対して
どのような取り組みを行なっているのかの事例を見てみましょう。