Lesson3-5 アレルギーと向き合う社会を実現する

これまでのLessonで、現代社会とアレルギーの関係性についてしっかりと理解できましたか。

このページでは、「アレルギー社会との向き合い方」を改めて考えていきましょう。

私たちがアレルギーと向き合う社会を実現していくためには、
今どのようなことが求められているのでしょうか。

アレルギー疾患対策の推進に関する基本的方針

日本アレルギー学会が作成した「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的方針」では、
特に小児を対象とするアレルギーに注目し、適切な施設で適切な支援を行うことが促されています。

教職員が適切な知識を得るための研修会や、就労する成人患者が労働衛生の整備を通じて
症状の悪化を防止する取り組みが重要であることなどが明記されています。

国・地方公共団体・医療保険者などにも責務がある

上述の基本的方針では、国は
「アレルギー疾患対策を総合的に策定および実施する責務を有する」とされており、

地方公共団体も、国との連携を図りながら
自主的かつ主体的に地域特性に応じた施策を実行
しなければなりません。

医療保険者も重症化の軽減や知識の普及を目的とした施策を行うべきであることが定められています。

これらのように、国全体がアレルギーを抑制するための施策を実行することが求められているのです。

大気汚染などもアレルギーと関係がある

食事や労働環境だけではなく、温室効果ガスによって引き起こされる大気汚染や
タバコによる「受動喫煙」などもアレルギーを引き起こす可能性があるため、
日常的に環境に配慮して生活することが現代を生きる私たちにとっては非常に大切です。

先進国では、環境に配慮された自動車や家電製品などが続々と開発されていますが、
「開発」が進む都市部では、排気ガスを吸い込まざるを得ない場面も少なくありません。

全てをゼロにすることは難しいですが、少しでも減らす努力をできるよう、
社会の一員として意識して暮らしましょう。

まとめ

日本のアレルギーは「清潔思考」を求める環境の変化と、
戦後に乳製品や加工食品の摂取量が増加したことなどを原因として増えてきました。

世界でも小麦を主食とする国でアレルギーが増加するなど、
食生活や環境の変化は私たちのアレルギーと密接な関係があります。

そのような社会の中でも、食品メーカーが食物アレルギーにならないような啓蒙レシピを開発したり、
医療品事業会社が花粉症に関する正しい知識をつけるためのプログラムを行うなど、
社会全体がアレルギーに対して前向きに共存しようとする姿勢が見られます。

Lesson3では現代社会とアレルギーというテーマで社会がどうあるべきか、
ということについても触れましたが、次のLesson4では
食物アレルギーに焦点を当て、定義や種類、特殊な発症事例や予防医学などの面に触れながら解説していきたいと思います。